ガタンゴトン。
出張帰りの私は、思いがけない電車のトラブルに巻き込まれていました。
後悔くん「ああ、なんでさっきの便に乗れなかったんだろう…。失敗ばっかりだよ」
不安ちゃん「これじゃあ、家に帰れないよ。奥さんやに心配かけないかな」
焦りちゃん「やばいやばい!どうしよう、どうしよう!」
そんな声が心の中で次々と響きます。
でもそのあとで――
反省ちゃん「落ち着いて。確かにトラブルはあったけど、次はどうするか考えればいいんだよ」
理性くん「大切なのは“ゴール”を見失わないこと。君のゴールは“無事に家に帰ること”だろう?」
判断くん「そして今回の選択には必ず理由がある。お土産を買いたかったんだよね。だったらその条件で選んだことは正しかったんだ」
トラブルの中でキャラクターたちが繰り広げる会話を聞きながら、私は気づきました。
「丁寧に生きる」とは、ゴールを明確にして、条件を整理して、その理由を認識すること。
そして不思議なことに、この一日のトラブルは、結果として 「人生のゴール」 を考える大切なきっかけになったのです。
本社の仕事が予定より早く終わった
本社での監査の仕事が予定より30分早く終わりました。
「これなら一本早い特急に乗れるかもしれない」と期待し、急いで駅に向かいました。
しかし、特急に乗るために次の駅に向かおうとしたとき・・・
私は、うっかり逆方向に走ってしまったのです。
そのせいで、10分は余裕があるはずだったのに、気づけば間に合うかどうかギリギリの状況に!
息を切らしながら全力ダッシュで特急のホームへ駆け込みました。
でも結果は……
ホームに着いたときには、特急はすでに出発していました。
後悔くん「あぁ、せっかくのチャンスが…!」
焦りちゃん「ギリギリまで頑張ったのに!」
私は肩で息をしながら立ち尽くしました。
けれど次の瞬間、心の中にふと別の声が響きました。
理性くん「まあいいか。最初から次の特急で帰る予定だったんだし」
感謝ちゃん「それに、このおかげで妻に頼まれていたお土産をゆっくり選べるよ」
そう思った途端、悔しさはスッと消え、むしろ安心と温かさに変わっていきました。
お土産を買った後のまさかの運休
妻に頼まれていた鶏皮串とみたらし団子。
「これならきっと喜んでくれる」と思いながら、お土産を買って特急のホームへ向かいました。
ところが・・・電光掲示板を見て驚愕。
「大雨のため運休」 の文字が点滅していたのです。
後悔くん「えっ、やっぱり前の特急に乗るべきだった」
不安ちゃん「どうしよう、もう帰れないかもしれない…」
焦りちゃん「バスだ!バスを探さなきゃ!」
慌ててスマホでバスの時刻表を調べるも、公式ホームページは混雑しているのか、まったくつながりません。
パニックくん「終わった…!どうしよう、どうしよう!」
そんなとき、ふと思いつきました。
「そうだ、娘に電話して泊めてもらえないか相談してみよう」
恐る恐る電話をかけると
娘「いいよ、泊まってきなよ。布団もお風呂も準備しておくね」
その一言で胸のつかえが一気にほどけました。
感謝ちゃん「ありがたい…!娘に助けてもらえるなんて、本当に幸せだ」
理性くん「予定通りに帰ることはできなかったけれど、“安心して休める場所”という新しいゴールにたどり着けたんだ」
こうして私は、トラブルの渦中にありながらも、娘の存在に救われ、心からほっと一安心することができました。
迷子の連続と娘の優しさ
お土産を買い、特急の運休を経て、娘に泊めてもらえることになった私は、安心しながら電車に乗り込みました。
「よし、あとは娘の駅に向かうだけだ」
そう思うと、少し肩の力が抜けました。
幸運なことに、ちょうど快速が来ていて、それに乗ることができました。
「順調だ、これはついてるぞ」――そう思ったのも束の間。
逆方向の罠
一駅手前で乗り換えをしたところ、なんと逆方向の電車に乗ってしまったのです。
後悔くん「あぁ…またやってしまった!」
不安ちゃん「このまま全然違うところに行ったらどうしよう…」
慌てて次の駅で降り、向かいのホームから来た電車に飛び乗りました。
「これで大丈夫だ」と胸をなで下ろしたのですが――。
さらなる迷走
今度は、まさかの別方向の電車。
気づいたのは3駅進んだ後でした。
パニックくん「どうして!?また間違えたの!?」
焦りちゃん「早く娘に連絡して!」
自分ではどうにもならないと悟った私は、すぐに娘へ連絡しました。
娘のサポート
電話の向こうで娘は笑いながらも、
娘「えー!?逆方向に2回も?(笑)…でも難しいよね」
と優しく言ってくれました。
駅名と行き先を写真に撮り、LINEで送ると、
「合ってるよ」とすぐに返事が返ってきて、ようやく安心できました。
到着と安らぎ
結局、予定より30分遅れて娘の家に到着。
玄関を開けると、布団とお風呂が準備されていて、その温かさに胸がじんわりと満たされました。
妻へのお土産の一部を娘に渡し、
「今日は大変だったね」と笑い合いながら一日の出来事を語り合いました。
そして久しぶりに娘とゆっくり話し、そのまま布団に入り、静かに眠りにつきました。
その夜、私は心からこう思いました。
「今日のトラブルも、娘と過ごすために必要な道だったのかもしれない」と。
翌朝に訪れた後悔と反省
娘の家で一晩過ごし、翌朝。
私は早めに起き、出発の支度を整えました。
眠そうにしながらも娘が目を開けてくれたので、
「泊めてくれてありがとう」とお礼を伝え、家を出ました。
電車に揺られながら、ふと心に浮かんできたのは、昨晩の自分の振る舞い。
後悔くん「なんであんなに昔話をベラベラと話しすぎたんだろう…」
不安ちゃん「娘に嫌われてしまったらどうしよう…」
楽しい時間のはずが、振り返れば後悔と不安が心を揺らしてきます。
感情から理性への切り替え
そんなとき、別の声が心に響きました。
反省ちゃん「いいんだよ。後悔は気づきのサインだから。次は“話す量”を工夫すればいい」
理性くん「今回の出来事を“反省”に変えれば、次の行動はもっと良くなる」
後悔や不安といった本能的な感情に揺さぶられても、
それを「反省」に変えれば、新しい習慣へとつながる。
そう考えると、心が少し落ち着きました。
新たなトラブルと学び
ところが、特急の駅に着いてチケットを交換しようとしたとき、思わぬ事実に気づきました。
ポケットに入れていた前日の特急券が、どこかで落ちてしまっていたのです。
後悔くん「あぁ…やってしまった。3,000円が返ってこない…!」
焦りちゃん「なんでポケットに入れたままにしたの?」
しかし、今回は早い段階で反省ちゃんが登場しました。
反省ちゃん「次からはチケットをポケットじゃなくて財布に入れる。そうすれば失くさないよ」
「そうだ、改善すればいい」――その瞬間、心は不思議と穏やかになっていました。
学びの本質
後悔や不安は何度も繰り返し現れます。
けれど、それを反省に変えて次の行動を決めれば、心は確実に落ち着きを取り戻す。
今回、そのサイクルをはっきりと体験できたことは、大きな収穫でした。
同じ失敗を繰り返して気づいたこと
特急券を失くした反省から、
「次からは財布に入れる」と決めた私でした。
ところが、その前日にもうひとつ大事な出来事があったのを思い出しました。
入館証タグの行方不明
本社に入るために必要な入館証のタグ。
ホテルを出て地下鉄を降りたとき、ふと気づきました。
不安ちゃん「あれ?…ない!どこにも見当たらない!」
焦りちゃん「やばい!これがなければ本社に入れないじゃないか!」
カバンの中を慌てて探しても見つからず、冷や汗が流れました。
結局、最後にズボンのポケットを探したところ――そこに入っていたのです。
後悔くん「ポケットに入れてたんだ…」
神様からのメッセージ?
このとき、心の中でふと思いました。
理性くん「きっと神様は“まだ学べていない”と教えてくれているんだ」
1回目で気づけないときは、同じようなトラブルを繰り返してでも、
正しい行動を身につけるように促してくれる。
そう感じたのです。
学んだこと
この経験から強く感じました。
トラブルは避けられなくても、そこから学ぶことはできる。
焦りや後悔といった本能グループが一気に顔を出しても、
理性グループが落ち着いてバトンを受け取れば、
「次にどうすべきか」を冷静に判断できる。
そしてその判断を言葉にして記録しておけば、次に同じ場面が訪れても迷わず対応できる。
反省ちゃん「失敗はただの繰り返しじゃない。“学びの再確認”なんだよ」
感謝ちゃん「同じ失敗を経験させてくれることも、実はありがたいことなのかもしれないね」
私は心からそう思いました。
丁寧に生きるという答え
度重なるトラブルと後悔、そして反省の連続。
私はその中で、一つの答えにたどり着きました。
それは「丁寧に生きる」ということ。
丁寧に生きるとは?
丁寧に生きるとは、ただ慎重になることではありません。
自分が今、選ぼうとしていることに対して
- ゴール(目指す結果)を明確にする
- そのための条件や選択肢を列挙する
- それぞれのメリット・デメリットを理解する
- 「なぜ自分がそれを選ぶのか」を意識する
この一連の流れを大切にしながら行動すること。
そして、その理由をできれば記録しておく。
結果はコントロールできない
どれだけ丁寧に考えても、結果そのものはコントロールできません。
ですが、想定していたゴールと実際の結果を比較することで、何を修正すべきかが明確になる。
- 想定通りにいけば、自分の選択に自信を持てる
- 想定外なら、どの条件を見落としていたかを振り返ればいい
つまり、ゴールの精度が高まるほど、反省の質も上がる。
小さな選択の積み重ね
「特急券をポケットに入れておくか」
「それとも財布に入れるか」
一見小さなことでも、ゴールを設定し、選択の理由を考え、結果を振り返る。
このプロセスを繰り返すことで、人生の質が少しずつ高まっていくのです。
理性くん「小さな選択でも、未来を変える力がある」
感謝ちゃん「その選択に“ありがとう”を感じられると、心が豊かになるんだね」
定義の確立
私はこう定義しました。
「丁寧に生きるとは、選択のゴールと条件を明確にし、なぜその選択をしたかを理解すること」
この答えを見つけられたとき、昨日までのトラブルが全て意味のあるものに思えました。
迷い、焦り、後悔――それらはすべて「丁寧に生きる」という結論へ導いてくれる道筋だったのです。
選択の先に見えた人生のゴール
本社での監査、特急の乗り遅れ、大雨による運休、逆方向への迷子。
この二日間は、まさにトラブルの連続でした。
しかし振り返ってみると、それらは単なる失敗ではなく、
「自分の人生をどう生きるか」という答えに導いてくれる学びの連続だったのです。
選択の積み重ねが未来をつくる
「一本早い特急に乗るか」「お土産を買うか」
「向かいの電車に乗り換えるか」「娘と昔話をするか」
日々の生活は、無数の小さな選択の連続です。
その一つひとつにゴールを設定し、選んだ理由を理解すること。
そして結果を振り返り、次に活かすこと。
これを繰り返すことこそが「丁寧に生きる」ことであり、
人生を豊かにする最短ルートだと気づきました。
もう一つの大きな気づき
選択の正しさは、選んだ瞬間に決まるのではありません。
「その選択がゴール達成につながったかどうか」で初めて評価できる。
そしてもし想定と違う結果になったとしても、
そこから新しい学びが生まれれば、それもまた正解なのです。
理性くん「決断した自分は正しい。違う結果が出たなら、それは次の成長への材料だ」
反省ちゃん「だから後悔は未来をつくるエネルギーなんだ」
人生のゴールのイメージ
私は改めて、自分の人生のゴールを思い描きました。
自分が作ったキャラクターたちが物語を語り、
人々が自分の感情や思考を理解する手助けになる。
そのおかげで、悩みや苦しみを抱える人が少しでも軽くなり、
前を向いて生きられるようになる。
そして80歳、あるいは100歳で人生を終えるとき、
多くの人から「ありがとう」と感謝され、惜しまれて旅立つ。
それが、私の選び取ったゴールです。
終わりに
人生の道のりは予想外のことばかり。
けれど「丁寧に生きる」ことで、想定外の出来事すら学びに変わり、
未来へつながる財産になります。
あの日のトラブルは、私にこう教えてくれました。
「迷ってもいい、間違えてもいい。ただゴールを言葉にして、選択を丁寧に重ねれば、人生は必ず豊かになる」
そう確信したとき、私は静かな幸せに包まれていました。
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